漆器くにもと

高岡漆器

高岡漆器

【地域】富山県高岡市

【概要】江戸時代の初期前田利長が高岡城を築いた際に日用品をつくらせたのが始まりと言われている。産地は富山県高岡市。中国から伝わった堆朱、堆黒等の技法に加え、彫刻塗、錆絵、螺鈿、存星など様々な技法が使われている。重要有形民俗文化財(御車山7基)と重要無形民俗文化財の両文化財に指定されている高岡御車山祭で曳き回される高岡御車山にはこれらの漆塗りの技法が使われている。技法は堆朱、堆黒等、彫刻塗、錆絵、螺鈿、存星、青貝塗、勇介塗、蒔絵などがある。1986年より工芸都市高岡クラフトコンペが毎年開催されるなどクラフト都市としての地位を確立している。現代のライフスタイルに適合した様々な商品が開発されている。

武蔵川工房

出典:武蔵川工房

【技法】

螺鈿(らでん)
螺鈿は、主に漆器や帯などの伝統工芸に用いられる装飾技法のひとつ。貝殻の内側、虹色光沢を持った真珠層の部分を切り出した板状の素材を、漆地や木地の彫刻された表面にはめ込む手法、およびこの手法を用いて製作された工芸品のこと。螺は貝、鈿はちりばめることを意味する。 使用される貝は、ヤコウガイ(夜光貝)、シロチョウガイ(白蝶貝)、クロチョウガイ(黒蝶貝)、カワシンジュガイ(青貝)、アワビ、アコヤガイなどが使われる。はめ込んだ後の貝片に更に彫刻を施す場合もある。

彫刻塗(ちょうこくぬり)
江戸時代中期の名工、辻丹甫(つじたんぽ)を元祖とする技術です。彫刻したところに漆を塗り、凹部にマコモ墨をさす古味(ふるび)付けという手法で陰影をもたせ、彫刻の立体感と独特の艶を表現する技法です。

勇助塗(ゆうすけぬり)
江戸時代末期に、初代石井勇助が生み出した技法です。唐物(からもの)として珍重されていた明(当時の中国)の漆器を研究して生み出しました。中国風の意匠に花鳥・山水などの絵柄を描き、要所に青貝・玉石をあしらう繊細優美な技法です。

存星(ぞんせい)
存清は、黒地・赤地・黄地等の塗上がりの漆の上面に色漆をもって、適当な模様を描き、その図案の輪郭を絵画の骨描式にケン(のみ)で毛彫りをし、あるいは金泥をもって隅取ったり毛彫りした線内に金泥を埋めたものです。その手法は大別して次の三つになります。
◯模様の輪郭を細かく毛彫りして彫り口に金泥を埋めたもの。
◯模様の輪郭を金泥で骨描き式に筆で線描きしたもの
◯模様の輪郭を細かく毛彫りしたままのもの。

錆絵(さびえ)
漆にとの粉を混ぜた錆漆に水分を適度に加えて柔らかくし、筆につけて、肉付きの厚い模様を描いたもの

堆朱(ついしゅ)
堆朱(ついしゅ)は、彫漆の一種で、油を混ぜた漆を幾重も塗り厚い層を作り、文様を彫刻したもの。通常の漆は硬くて彫刻が困難だが、油を混ぜることで、軟らかくなり彫刻が可能になった。

堆黒(ついこく)
彫漆(ちようしつ)の一。堆朱(ついしゆ)と同じ技法であるが,黒漆を用いたもの。中国の剔黒(てつこく)にあたる。堆烏(ついう)。

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